ライダーハウス。文字どおりバイク乗りであるライダーはもちろん、チャリダーや徒歩のバックパッカーといった旅人のための低価格設定の宿がライダーハウスだ。他にも旅人向けの安宿にはゲストハウスなどがあるけど、ライダーハウスは個室ではなく雑魚寝や2段ベッドといった他の宿泊者とスペースを共有する相部屋タイプが多いので、ライダー向けのドミトリー(大部屋)形式の宿と思って間違いない。
“ライダーになったなら、とりあえず北海道へ行く!!”なんて風潮が盛り上がったバイクブームで北海道にはライダーハウスが急増。それこそ僕が初めて北海道を走った30年前には、ガソリンスタンドで給油がてら「このあたりにライダーハウスはあります?」なんて聞いてみれば、「ああ、ここいらだと、○○と○○だね。チラシがあったハズだから持ってきな!」なんて感じで、定食屋を探す感覚でライダーハウスが見つけられたくらい。大抵は旅人好きが営む個人経営のライダーハウスが大半だったけど、市営や町営の無料のライダーハウスもあったりして“その日の宿”に困ることがなかった。

駅名標の看板が目印の「ライムライト」。住所は、北海道函館市栄町5-1で函館の主要観光地やロープウェイにも歩いて行ける立地ある。バイクの置き場が確保されているのがライダーハウスの最大の特徴……なのだが、「ライムライト」ではバイク置き場が“外”と“ガレージ”が選べるという。いったいどんなところだろう?
ただ時代はすでに令和である。昭和のバイクブームが下火となり(最近またライダーは増えているようだけどね!)ライダーハウスは減少。時々北海道に渡る仕事があった時にかつてお世話になったライダーハウスが朽ちるままに放置されているのを幾つも見たし、最近できた民泊新法に則った運営が難しい……なんて話も聞こえてくる。少なくともライダーハウス頼りに行き当たりばったりの放浪ができるほどの数は残っていないようだ。

こちらがガレージ。「ライムライト」の宿泊料は1泊でガレージなしなら1500円で、ガレージ付きなら2000円と格安! 寝床はガレージ併設の2段ベットと2階の大部屋が選べるとのことだったので、ガレージ併設の2段ベットをチョイス。
まぁ、安いぶんライダーハウスにはサービスや施設に多くのことを望むことはできないが、僕のように行き当たりばったりで走り回るようなライダーにはライダーハウスの存在がとにかくありがたい。それにバイクには宿が見つからなかった場合の野宿に備えてエアマットや寝袋&インナーシーツなども積んでいる。雨風さえしのげればあとは足りない部分は自分で補えばいいのだ。
どっこい残っていた函館のライダーハウス「ライムライト」

本日の寝床。雨風を凌げるうえに充電のためのコンセントがあり、おまけにWi-Fiまで飛んでいる。雰囲気は住み込みで働くアルバイトや土木の飯場といった感じ。30年前のツーリングでも個性あふれるライダーハウス巡りが気に入ってしまい、持ってきたテントをほとんど使わなかったのを思い出した。
さて、30年ぶりに上陸した函館。懐かしくなって調べてみればかつてお世話になった「ライムライト」はまだ残っており、電話してみれば当日予約でOK。気になるガレージとやらは広めですでに数台のバイクが停まっており、そのまわりに2段ベットが7つ。2階には大部屋もあるらしいが、バイクのそばで寝れるならバイクから荷物を下ろす必要がなくて便利とガレージ併設の2段ベッドを選ぶことにした。
受付時に最近のライダーハウス事情をオーナーに聞いてみれば、やはり昔ほどの数はないらしいが、それでも北海道各地にはライダーハウスが残っており、提携の『ライダーハウス』をめぐるスタンプラリーなんてのもやっているなんてことを聞いて嬉しくなる。

各ブロックの“提携ライダーハウス3つ”に泊まってスタンプをゲットするとステッカーがもらえるスタンプラリー(台紙:200円/1年間有効)。少なくなったとはいえ元気なライダーハウスがいくつもあることを知って、協力金がてら思わず応募。スタンプラリーの対象となるライダーハウスは道南、道央&道北、道東と北海道各地にあって使い勝手もよさそうである。
また受付のついでにオーナーさんに「函館名物のラッキーピエロに行ってみたいんですが近くにあります?」なんて聞いてみれば、「ちょうど2日間限定の“ハンバーガー個数割引祭”やっていて7個以上買うと35%オフOFFなるんです。他の宿泊者にもオーダー取って買ってきますから、一緒に買いません!?」なんて感じでいきなり話が盛り上がる。

待ってました! とばかりにチラシが登場。なんと1~3個で25%OFF! 4~5個で30%OFF!! 7個以上だと35%OFF!! よくよく見てみれば“年に1度えこひいき大作戦”らしいじゃないですか!! の渡りに船とばかりにひと口乗ってみる。初めてなら、まずは一番人気の「チャイニーズチキンバーガー」がオススメとのこと。
犬も歩けば棒に当たる。“函館のご当地バーガーラッキーピエロ”なんてことは情報では知っていたが、これまで食べたことはなかった僕(だって海鮮物が美味しいんだもの!)。フェリーターミナルから函館散策をしながらここまで走ってくる間にすでに4、5軒の「ラッキーピエロ」を見かけて気になってはいたのだが、やっぱり旅ライダーは走ってナンボ。人との出会いで面白いように話が転がり出すじゃないか。

オーナー夫妻とこの日の宿泊者でラッキーピエロ35%OFF祭り(笑)。こんな交流ができるのも『ライダーハウス』の楽しさだ。

人生初のラッキーピエロ「チャイニーズチキンバーガー」は35%OFFなので320円。とにかくボリューミーでこれ1個で十分晩飯代わりになる。しかも聞けばさらにボリューミーな「ラッキーエッグバーガー」なんてのもあるらしい……。これはちょっとじっくり調査してみねば! ということで次回のこのコーナーでは“全国ご当地バーガーNo.1”のラッキーピエロを深掘りしてみよう!!
【関連記事】 Road to FanFunMeeting in 夕張
その① 青森ー函館間のフェリーは行き当たりばったりで乗れんのか?
その② 海鮮物が揃う函館朝市で旬のスルメイカを堪能!
その③ 30年前の空白区間を埋めに行く
その④ 北海道名物の『ライダーハウス』ってどんな宿!?