なぜ？どうして？オフロード！！ ⑬「オフロードグローブって消耗品なの！？」

既存のホンダ・CRF250L、CRF250ラリーだけでなく、2024年末にはカワサキからKLX230、KLX230シェルパが登場し、久々の400ccクラストレール・スズキDR-Z4Sの発売が秒読み段階であることなどなど。にわかに盛り上がりつつあるバイクのジャンルがオフロードバイクだ。ただこのオフロードバイク、いざ始めようとするとちょっとばかし特殊でエントリーユーザーにはわかりにくいことも多い。そこでオフロードバイク遊びをするためのハウツーを毎回少しずつ紹介していく本企画。今回はオフロードグローブについて深掘りしてみよう。

オフロード遊びで使うグローブの選び方はちょっと特殊

走行速度は遅いがクラッチレバーやブレーキレバーの操作回数が多く、また半クラッチを多用するオフロード用のグローブは薄手なものが多い。写真はアルパインスターズの「Techdura オフロードグローブ」。

走行速度は遅いがクラッチレバーやブレーキレバーの操作回数が多く、また半クラッチを多用するオフロード走行。オフロードバイク用のグローブは、操作性を高めるため薄手なものが多い。写真はアルパインスターズの「Techdura オフロードグローブ」。

これまで、このコーナーでは「オフロードヘルメット」や「オフロードブーツ」、「膝プロテクター」、「ウエア選び」について取り上げてきたが、今回はグローブの話。“グローブのネタだけで一話もつの？”なんて思うかもしれないが、きちんとオフロード走行をしようと思うと意外と重要になるアイテムがグローブであり、それだけにネタも多い。

というのもオフロード走行では、舗装路よりも走行速度域は低くなるものの、動きが三次元的で路面も滑りやすいため、とにかくクラッチやブレーキレバーの操作頻度が多くなり、その操作に関しても繊細さが必要になる。また硬くザラザラとしたアスファルトではなく、土や砂利など比較的柔らかい路面を走ることになるため、ロードバイク用のグローブに比べてオフロードグローブはプロテクション性能よりもコントロール性を重視している。

とにかく生地が薄く、コントロール性がいいのがオフロードグローブの特徴。「Techdura オフロードグローブ」はエンデューロ競技用で薄手だがナックルガードも装備。

生地が薄く、コントロール性がいいのがオフロードグローブの特徴。エンデューロ競技用の「Techdura オフロードグローブ」は、難所を走るエンデューロ競技に合わせてちょっと特殊な進化を遂げており、薄手で操作性を追求しながら、ソフトなナックルガードも装備している。

またオフロードは主に土の上を走るため、グローブに限らずとにかく衣類が汚れる。雨ともなれば土の路面はぬかるみと化し、転ばなくても前走車の巻き上げた泥を被ればバイクもウエアも泥だらけ。そんな泥まみれの状況でも走れるように、ひと昔前のオフロードウエアには、グローブに付いた泥をこそぎ落とすためのスクレイパーが膝まわりに装備されていたくらいだ。

最近のオフロードウエアは軽量化がトレンドなので省略されることが多くなったが、ひと昔前のオフロード用パンツには、ラバー製の立体エンブレムが縫い付けられているモデルが多かった。この凹凸のあるロゴは、手のひらについてしまった泥をこそぎ落とすスクレーパーも兼ねていた。

最近のオフロードウエアは軽量化がトレンドなので省略されることが多くなったが、ひと昔前のオフロード用パンツには、ラバー製の立体ロゴが縫い付けられているモデルが多かった。この見るからに凹凸感のあるロゴは、手のひらについてしまった泥をこそぎ落とすスクレイパーも兼ねる。

オフロードは汚れがつきもの。普段使っているお気に入りのレザーグローブなどはもったいないので使わない方が吉。またナンバー付き市販車の純正グリップはともかく、モトクロッサーやエンデューロモデルなどの競技車や社外品のソフトグリップなどはグローブの生地に吸い付くような柔らかいラバーを採用することが多く、とにかくグローブの親指と人差し指の間に負担がかかる。スポーツ走行していればいずれ縫い目がほつれたり、生地が破れてしまうのがオフロードグローブの宿命なのだ。僕のオフロード走行は趣味程度でレースに出ている訳でもないのだが、それでも年に１回か２回は穴が空いてグローブを新調する。オフロード走行でグローブは消耗品なのだ。

林道を軽く流す程度なら、生地が薄めのロード用グローブを使うのもアリ。ただし、オフロードセクションはとにかく汗もかき、汚れるので選択しやすい素材のグローブを使おう。写真はレッドバロンのメッシュグローブ「ゼロスグラブエア」。何度かオフロード走行にも使っているが、頑丈で洗濯もしやすくて気に入っている。

林道を軽く流す程度なら、生地が薄めのロード用グローブを使うのもアリ。ただし、オフロードセクションはとにかく汗もかき、汚れるので洗濯しやすい素材のグローブが使いやすい。写真はレッドバロンのメッシュグローブ「ROMゼロスグラブエア」。何度か林道走行にも使ってみたけど、思ったより頑丈なうえに洗いやすくて気に入っている。

サイズ選びが重要なオフロードグローブ

オフロード用のグローブ選びで最も重要となるのはサイズだ。人によってはグローブに対して大きめタイトめなど好みがあるかもしれないが、スポーツ性の高いオフロード走行をするつもりなら、オフロードグローブはややキツめなサイズの方がいい。

指先が余ったり、ごわつくようなサイズは論外だが、なるべく手のひら部分もぴったりフィットするようなサイズを選ぶ。グリップを握り込んだ時に突っ張ってしまって指が曲げられない……というのは明らかにキツすぎだが、やや着脱が少々しにくいぐらいのサイズ感の方が激しいライディング時に掴んだハンドルがすっぽ抜けにくく、また繊細なレバー操作もしやすい。

指先が余らず、しかも親指と人差し指の谷の部分がしっかりフィット。拳を握り込んだ際に変な抵抗がないくらいがちょうどいい。

オフロードグローブはサイズ選びに気を配ろう。指先が余らず、しかも親指と人差し指の谷の部分がしっかりフィット。かつ拳を握り込んだ際に変な抵抗がないくらいがちょうどいい。

この記事の執筆者

谷田貝洋暁

バイク雑誌『レディスバイク』、『Under400』、『タンデムスタイル』などの編集長を務めた後、2019年からフリーランスとして活動開始。これまで二輪媒体に掲載されたバイク試乗記事は1500稿を超える。バイクはもちろん、カヌー、山スキーなど“旅のにおい”のする道具に目がなく、２輪業界に拾われるまでは“職業旅人”だった。