ホンダのCRF250LCRF250ラリーだけでなく、2024年末にはカワサキからKLX230KLX230シェルパが登場。2025年には久々の400ccクラストレールとなるスズキ・DR-Z4SやKTM・390エンデューロRが登場し、ヤマハも2026年1月から久々のトレールモデルとなるWR125Rを発売!!
こんな感じで近年にわかに盛り上がりつつあるのがオフロードバイクというジャンルだ。ただこのオフロードバイク、いざ始めようとするとちょっとばかし特殊でエントリーユーザーにはわかりにくいことも多い。そこでオフロードバイク遊びをするためのハウツーや用語を毎回少しずつ紹介していく本企画。今回はオフロードバイクのジャンルのお話で『モタードモデル』をピックアップ。 車体はオフ車なのにロードタイヤを履くとはいったいどういうことなのさ!?

トレールバイクをベースに前後ホイールを17インチ化が『モタードモデル』のセオリー

『モタードモデル』であるスズキ DR-Z4SMを走らせる筆者の谷田貝 洋暁。DR-Z4SMのメディア向け試乗会はサーキットで行われ、その高いポテンシャルを味わった!

『モタードモデル』であるスズキ DR-Z4SMを走らせる筆者。DR-Z4SMのメディア向け試乗会はサーキットで行われ、その高いポテンシャルを味わった!

 

結論から先に言ってしまえば、バイクメーカー各社が発売する『モタードモデル』とは、トレールバイクをベースに前後のホイールを17インチ化してロードタイヤをセットして、より舗装路向きに仕立てたバイクだ。またこれに付随してサスペンションのバネレートや減衰力のセッティングをロードセクション向きにリセッティングし、さらにフロントブレーキもより強化される。キャラクター的には、オフ車由来のキビキビとした機動性のおかげで、街中などでの使い勝手が非常にいい。

久々に復活した400ccオフロードモデルのスズキ DR-Z4シリーズ。トレールバイクのDR-Z4SとDR-Z4SMがあり、左のDR-Z4SMの方が『モタードモデル』。

久々に復活した400ccオフロードモデルのスズキ・DR-Z4シリーズ。トレールバイクのDR-Z4SとDR-Z4SMがあり、左のDR-Z4SMの方が『モタードモデル』。ちなみに“SM”とはスーパーモタードのこと。

見た目の大きな違いはフロントタイヤで、フルサイズのトレールバイクは21インチスポークホイールなのに対して、『モタードモデル』はロードモデルがよく採用する17インチホイールを履く。

見た目の大きな違いはフロントタイヤで、フルサイズのトレールバイクは21インチスポークホイールなのに対して、『モタードモデル』はロードモデルがよく採用する17インチホイールを履く。

ブレーキに関しても、フロントブレーキはトレールよりも、より高いストッピングパワーを求めて『モタードモデル』にはフローティングマウントやより大径化されたディスクが採用される。またフロントフォークもトレールバイクが正立フォークで、『モタードモデル』が倒立フォークなんてことが多く、『モタードモデル』の方がオンロード走行を踏まえ硬めのセッティングとされることが多い。

ブレーキに関しても、フロントブレーキはトレールよりも、より高いストッピングパワーを求めて『モタードモデル』にはフローティングマウントやより大径化されたディスクが採用される。またフロントフォークに関しては、ベース車であるトレールバイクが正立フォークであった場合、派生モデルの『モタードモデル』はより高剛性な倒立フォークを採用するなんてことが多く、『モタードモデル』の方がオンロード走行を踏まえて硬めのサスペンションセッティングが施される。

リヤのホイールサイズは、トレールバイクが18インチホイールが多いのに対し、『モタードモデル』は17インチホイールを採用。また近年のABS装着義務に関しても、『モタードモデル』は、ブレーキターンなどが行えるよう、リヤのABS制御が解除できるモデルが多い。

リヤのホイールサイズは、トレールバイクが18インチホイールが多いのに対し、『モタードモデル』は、やはりロードモデルで定番の17インチホイールを採用。また近年のABS装着義務に関しても、『モタードモデル』は、ブレーキターンなどが行えるよう、リヤのABS制御が解除できるモデルが多い。

オン・オフ混走で誰が速いのか? というレースの“スーパーモタード”競技が『モタードモデル』のルーツ

舗装路とダートセクションを織り交ぜたコースで誰が速いか? を競うスーパーモタード。

舗装路とダートセクションを織り交ぜたコースで誰が速いか? を競うスーパーモタード。ブーム時は東京・お台場にてこんなエキシビジョンマッチが行われたこともある。

 

1970年代の終わり、“舗装路の上を走るオンロード競技、ダートコースを走るモトクロス、……で結局どっちが速いのよ?”なんてところから始まったスプリント競技がスーパーモタード。スーパーモトとかモタードなんて呼ばれることもあった、この競技車両を模したナンバー付きの市販車がいわゆる『モタードモデル』だ。

スーパーモタードを走るレーサーは、モトクロッサーなどの競技モデルをベースに前後17インチホイールを履かせ、オンロードとオフロードが走れるよう専用のタイヤを装着。よくタイヤを見てみると純然たるロードレース用タイヤではなく、ダート路面にグリップするようトレッドパターンが切られているのがわかる。

スーパーモタードを走るレーサーは、モトクロッサーなどの競技モデルをベースに前後17インチホイールを履かせ、オンロードとオフロードが走れるよう専用のタイヤを装着。よくタイヤを見てみると純然たるロードレース用タイヤではなく、ダート路面にグリップするようトレッドパターンが切られているのがわかる。

 

このスーパーモタード競技の人気を受けて日本国内にもブームが到来。屋外バイクイベントなどではスーパーモタードのエキシビジョンマッチや、ド派手なスライドショーなどが盛んに行われることに。国内4メーカーもこの人気を受けて、トレールバイクをスーパーモタードレーサー風に仕立てた『モタードモデル』をこぞって発売したことでモタードブームが到来することになったのだ。

1998年 カワサキはKLX250ベースに『モタードモデル』化したD-TRACKERを発売。このD-TRACKERが日本国内における『モタードモデル』の先駆けとなった。

1998年、カワサキはKLX250ベースに『モタードモデル』化したD-TRACKERを発売。このD-TRACKERが日本国内における『モタードモデル』の先駆けとなった。

 

日本国内で『モタードモデル』のブームが盛り上がったのは2000年代。国内4メーカーから続々と『モタードモデル』が登場。スズキなどはカワサキと業務提携して、D-TRACKERのOEMモデルである250SBを2002年に登場させたほどだった。

2002年登場のスズキ・250SB。

2002年登場のスズキ・250SB。ベースはなんとカワサキのD-TRACKERで、さすがにエンジンの“Kawasaki”のロゴは消されているが、その他はカラーリングとステッカーぐらいの違いしかない。

 

その後、ホンダ、ヤマハもこの流れに追随。沢山の『モタードモデル』が誕生することに。当時の『モタードモデル』を登場順に列記すれば……

2003年、ホンダ・XR250MOTARD。

2003年、ホンダ・XR250MOTARD。

2004年、復活したDR-Z4SMの先代にあたるスズキ・DR-Z400SM。

2004年、スズキ・DR-Z400SM。2025年に復活したDR-Z4SMの先代にあたるモデルで、この頃から倒立フォークを採用していた。

2005年、エイプ100をベースとした、ホンダ・XR100MOTARD。

2005年、エイプ100をベースとした、ホンダ・XR100MOTARD。

2005年、エイプ100をベースとした、ホンダ・XR100MOTARD。

2005年、50ccクラスのホンダ・XR50MOTARD。ベースモデルはエイプで、軽くコンパクトな車体はジャックナイフなどのアクションライディングもしやすかった。この頃までは原付一種のギヤ付きモデルがフツーに買えた。

2005年、ホンダ・XR400MOTARD。

2005年、ホンダ・XR400MOTARD。

2006年、ヤマハ・XT250X。SEROW225系がSEROW250へモデルチェンジする際に、トリッカーと同時開発された『モタードモデル』がXT250X。エンジンやメインフレームを共用して別キャラクターのバイクを作るプラットフォーム戦略の先駆けとなった。

2006年、ヤマハ・XT250X。SEROW225系からSEROW250へモデルチェンジする際に、トリッカーと同時開発された『モタードモデル』がXT250X(発売はトリッカーが一番最初だったけどね!)。エンジンやメインフレームを共用して別キャラクターのバイクを作るプラットフォーム戦略の先駆けとなった。セロー250とはヘッドライトやテールライトのデザインが異なる。

2007年、ヤマハ・WR250X。ベースはもちろんWR250R。

2007年、ヤマハ・WR250X。ベースは“オフロードのYZF-R1”のコンセプトで作られたWR250R。

2008年、ホンダ・XR230MOTARD。ホンダは一時期ものすごい数の『モタードモデル』をラインナップしていた。

2008年、ホンダ・XR230MOTARD。ホンダは一時期ものすごい数の『モタードモデル』をラインナップしていた。

 

……という具合に2000年代中期、モデル数が爆発的に増えた『モタードモデル』。ただその直後、2008年の排出ガス規制強化を境にキャブレター車の多かったミドルクラスのモデルは激減。『モタードモデル』もこのキャブ車一掃の影響をモロに受けた。しかも、2008年は爆発的大人気となったNinja250Rが登場した年であり、二輪業界のムーブメントは一気にフルカウルモデルへと移っていった。

ちなみに2026年1月現在、国産メーカーの『モタードモデル』は、スズキ・DR-Z4SM、カワサキ・KLX230XSMのみ。これに対し、海外勢は、KTM・390SMC R690SMC R、ハスクバーナ・モーターサイクルズ・701Supermoto、ガスガス・SM700、ドゥカティ・Hypermotard V2/Hypermotard698 Mono/Hypermotard950、アプリリア・SX125、ファンティック・XM50/XMF125といったところで、海外メーカーの方が『モタードモデル』が盛り上がっている。

ただ、日本でもベースとなるトレールモデルが最近続々と登場しているので、今後『モタードモデル』がラインナップが増えるかもしれないぞ!!

2025年8月に登場したばかりのKTM・390SMC R。エンジンはロードモデルの390デュークのエンジン。派生モデルにトレールバイクの390ENDURO、390ADVENTURE Rがある。

2025年8月に登場したばかりのKTM・390SMC R。エンジンはロードモデルの390デュークのエンジン。派生モデルにトレールバイクの390ENDURO R、アドベンチャーバイクの390ADVENTURE Rがある。

 

 

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