バイクのインプレッション記事やバイク乗り同士の会話で出てくるバイク専門用語。よく使われる言葉だけど、イマイチよくわからないんだよね…。「そもそもそれって何がどう凄いの? なんでいいの?」…なんてことは今更聞けないし。そんなバイク関連のキーワードをわかりやすく解説していくこのコーナー。今回は素材の話、 『マグネシウム』を解説していこう。
そもそも『マグネシウム』とは?
前回、ステンレスよりも圧倒的に軽く、アルミより遥かに強度が高い金属であるチタンを紹介したが、そのチタンやアルミよりさらに軽い金属素材が今回紹介する『マグネシウム』だ。
『マグネシウム』合金の金属としての最大の特徴は実用金属の中で最も軽いということ。比重でいえば、鉄が7.9、チタンが4.5、アルミが2.7なのに対し、マグネシムは1.7と圧倒的に軽い。同じ体積なら単純計算で鉄の25%、アルミに対しても60%ほどの重さしかないということである。ただ、素材の強度、強さに関しては鉄よりも若干弱く、鉄と同等の強度のパーツを『マグネシウム』で作る際には3分の1程度まで軽量化できるとされている。
『マグネシウム』のなにが凄いの!?
めちゃくちゃ軽いけど強度はそこそこ
……というところだ。ものすごく強度が高くて軽いチタンがエンジン内部のバルブやコネクティングロッドなど、負担の大きな部位に使われるのに対し、『マグネシウム』は、“とにかく軽くしたいので強度はそこそこで十分”というような箇所で採用される。
具体的にはエンジンのパルサーカバー、クラッチカバーやリヤフレーム、ホイールあたりと外装部品が多い。また製造方法に関しては、JB-POWER「MAGTAN」などの鍛造『マグネシウム』製品もありはするが、後述する取り扱いの難しさから鋳造(ダイキャスト)の製品が多い。
『マグネシウム』って危なくないの!?
また『マグネシウム』の特性は軽いだけでなく酸化しやすいということがある。学生時代を思い出してみよう、理科や化学の授業で、薄いマグネシウム片を燃焼させて強い閃光を発生させるなんて実験を見たりした人も多いと思う。金属でありながら燃えやすい『マグネシウム』は燃焼時に強い光を発するため、昔のカメラのストロボの光源(明治、大正のドラマなどで撮影時にボウンという煙の出るアレだ)として使われていたくらいだ。
この燃えやすく、燃焼時に高熱を発するという特性が『マグネシウム』の取り扱いを難しくしている。切削加工時の切屑や粉となって表面積が増えると、大気中の水分と反応しやすくなって発熱、自然発火することもあり、それによる火事も実際に起きている。……そんなこともあって“『マグネシウム』は危険!”なんてイメージがついてしまっているが、それはあくまで著しく表面積が増えた状態でのことで、ブロック状になっている『マグネシウム』製のホイールやエンジンカバーがいきなり燃え出すなんてことはないのでご安心を!
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