バイクのインプレッション記事やバイク乗り同士の会話で出てくるバイク専門用語。よく使われる言葉だけど、イマイチよくわからないんだよね…。「そもそもそれって何がどう凄いの? なんでいいの?」…なんてことは今更聞けないし。そんなバイク関連のキーワードをわかりやすく解説していくこのコーナー。今回はマフラーの内部にある『キャタライザー』をピックアップ。近年取り沙汰される排気ガスのクリーン化には欠かせないパーツだ。

そもそも『キャタライザー』とは?

バイクでいう『キャタライザー』とはマフラー内部にある部品であり、その形状は蜂の巣か、段ボールを巻いて束ねてカットしたときの切り口のように見える。写真はヤマハ・WR250R/Xのマフラーカットモデル。

バイクでいう『キャタライザー』とはサイレンサーやエキゾーストパイプの内部にあるパーツであり、その形状は蜂の巣か、段ボールを巻いて束ねてカットしたときの切り口のように見える。写真はヤマハ・WR250R/Xのマフラーカットモデル。

 

『キャタライザー』とは英語でCatalyst、日本語では“触媒”ということにになる。化学でいう“触媒”とは、化学反応の際にそれ自身は変化せず、他の物質の化学反応を促進する物質のこと。……うーん、難しいねぇ。もう少しわかりやすく噛み砕くと、“熱を受けて他の物質の化学変化を起こさせるものの、触媒自体は減りも増えも、変化もせず半永久的に使える物質”となる。車やバイクにおける『キャタライザー(触媒)』は、主にエキゾーストパイプやサイレンサーなどの内部にあって排気ガスに含まれる有害物質を無害化している。

『キャタライザー』のなにがすごいの?

熱を受けるだけで有害物質を半永久的にクリーン化!

『キャタライザー』が蜂の巣のような形状なのは、表面積を増やしてより多くの排気ガスを『キャタライザー』に触れさせるため。写真はスーパーカブ110のマフラーカットモデル。

『キャタライザー』が蜂の巣のような形状なのは、表面積を増やしてより多くの排気ガスを『キャタライザー』に触れさせるため。写真はホンダ・スーパーカブ110系のマフラーカットモデル。内部までしっかりハニカム構造であり、『キャタライザー』がより多くの排気ガスと触れ合うようになっている。

 

混合気を燃やした時に発生する排気ガスの多くは、二酸化炭素(CO2)や窒素(N2)、水蒸気(H2O)であるものの、不完全燃焼などにより窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)といった大気汚染の元となる有害な物質が微量ながら発生する。

近年の世界的な流れとして、これら窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)といった有害物質の排出量の削減に取り組んでおり、これら有害物質の排出量を規定値以下まで下げないとユーロ5やユーロ5+といった規制に通らなくなってしまう。

そこで登場するのが今回の主役である『キャタライザー』である。排気ガスの通り道であるマフラーやサイレンサーの途中に『キャタライザー』を設置することで、排気ガスが『キャタライザー』の内部を通過。すると排気ガスの熱によって、有害物質である窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)が酸化・還元の化学変化を起こし、二酸化炭素(CO2)や窒素(N2)、水蒸気(H2O)へと変化。結果として有害物質の量が減るというわけなのだ。

バイクや車の『キャタライザー』として使われるのは、酸素や水素を活性化させる効果の高いプラチナ触媒。このプラチナ触媒は白金(プラチナ)を使うため高価なのだ。

バイクや車の『キャタライザー』として使われるのは、酸素や水素を活性化させる酸化・還元反応の高いプラチナ触媒。このプラチナ触媒は白金(プラチナ)を使うため高価なのだ。

 

すごいのはやはり『キャタライザー』の触媒効果で、エンジンで発生した熱源だけで半永久的に排気ガスをクリーン化し続けるというところ。ただし、そんな『キャタライザー』はかなり高価。自動車用の『キャタライザー』は別名“プラチナ触媒”とも呼ばれ、文字通りプラチナ(白金/Pt)が成分に使われている。そう、プラチナとは指輪やネックレスでも使われる希少金属のあのプラチナである。

それだけに『キャタライザー』はバイクのパーツの中でもかなり高価。バイクのマフラーを交換しようと思ったときに、価格を調べてみるとカスタムパーツよりも純正マフラーの方が高かった!……なんてことが起きるのはこのプラチナを含んだ『キャタライザー』が高価なためである。

2025年に登場したスズキのDR-Z4シリーズは、より効率よく排ガスのクリーン化を行うため、エキゾーストパイプ&サイレンサーには、それぞれ1箇所、合計2コの『キャタライザー』を内蔵。エキパイの途中に『キャタライザー』をレイアウトするのは、より燃焼室に近づけることで、エキパイが冷えている始動時直後でもしっかり『キャタライザー』を働かせるためだ。

2025年に登場したスズキのDR-Z4シリーズは、より効率よく排ガスのクリーン化を行うため、エキゾーストパイプ&サイレンサーには、それぞれ1箇所、合計2コの『キャタライザー』を内蔵。わざわざエキパイの途中に『キャタライザー』をレイアウトするのは、より燃焼室に近づけることで熱源を確保し、エキパイが冷えている始動時直後から『キャタライザー』をしっかり働かせるため。

 

 

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