バイクのインプレッション記事やバイク乗り同士の会話で出てくるバイク専門用語。よく使われる言葉だけど、イマイチよくわからないんだよね…。「そもそもそれって何がどう凄いの? なんでいいの?」…なんてことは今更聞けないし。そんなバイク関連のキーワードをわかりやすく解説していくこのコーナー。今回はマフラーのカスタム用語『手曲げ』について見ていこう。
そもそも『手曲げ』マフラーとは?

ヨシムラのZ用集合管、“フルエキゾースト 手曲げストレートチタンサイクロン 4-2-1”(写真は展示用のカットモデル)。名前どおり、4-2-1集合の『手曲げ』エキゾーストパイプが特徴のチタンマフラーだ。ちなみにそのお値段なんと税込60万2800円!
「マフラー換えたくて、フルエキ探してたんだけど、『手曲げ』だと高くってさ~」なんて感じで使われる『手曲げ』という言葉。……それ以前にバイク初心者にとってこの文章の中身は、どうやら排気管の“マフラー”の話なんだな?ということぐらいはわかっても、“フルエキ”も『手曲げ』もなんのこっちゃだろう。ミもフタもなく解説すれば……
「(愛車のカスタムがしたくて純正の)マフラー(からアフターパーツメーカーのものに)換えたくて、(どうせカスタムするならサイレンサーの先だけ換えるお手軽なスリップオンタイプじゃなくて、エンジンからサイレンサーまでの全てを交換する)フルエキ(ゾーストタイプの社外品マフラーを)探していたんだけど、『手曲げ』だと、(機械曲げのフルエキゾーストよりずいぶんと)高くってさ~」
……とまぁ、こんな感じである。特定の分野のマニアのことをエンスージアスト(Enthusiast)。略して“エンスー”なんて言ったりするけど、彼らの言葉はその情報の多さゆえ、言わずもがなの単語は会話で無意識に略すことがとても多い。また内容を略したり、専門用語を織り交ぜることで“玄人っぽさ”が匂わせられるため、より難解になる傾向が強まりがち。これがエントリーユーザーにとってはハードルになるわけだ。
さて、『手曲げ』に話を戻そう。フルエキゾーストマフラーの中でも、エンジンと末端のサイレンサーを繋ぐエキゾーストパイプの部分が、“機械曲げ”でなく、『手曲げ』仕様となっているのが、いわゆる“『手曲げ』のマフラー”だ。ちなみにバイクに元からついている純正のエキゾーストパイプは全て“機械曲げ”だと思って間違いない。

こちらは同じくヨシムラのZ用集合管で“機械曲げ”タイプ。フルエキゾースト ストレートチタンサイクロン 4-2-1で、お値段は39万3800円。
『手曲げ』のなにがすごいの?
“機械曲げ”よりも『手曲げ』は高価でカスタムの満足度が高い!
……ってことだ。カスタムの世界では同じ機能のカスタムパーツなら、“よりカッコよく、より価格の高い方がエライ! 凄い!! 羨ましい!!!”という風潮がある。バイクとしての走行性能以上に“どれだけ手をかけたか?”なんてことが競われるため、見た目のかっこよさはもちろん、どれだけ高いパーツを付けているか? もとっても重要になってくる。
そんなカスタムの代表例がこの“機械曲げ”と『手曲げ』のエキゾーストパイプだ。“機械曲げ”は、文字通りパイプベンダーと呼ばれる工作機械で量産されるエキゾーストパイプ。一方の『手曲げ』のエキゾーストパイプは職人が一本一本バーナーで熱しながら丁寧にパイプを曲げていく。つまり、“機械曲げ”より『手曲げ』のエキパイの方がより手間がかかっているから高価なのだ。
しかも、ルックス的な要素に関しても大きな違いが出るのが“機械曲げ”と『手曲げ』。コンピュータ制御で曲げる“機械曲げ”は、曲部のRが一定かつ、Rから次のRへの繋がりが直線的になるのに対し、『手曲げ』は人の手による微妙なRが付けられる。

同じ機種に取り付ける『手曲げ』(写真左)と“機械曲げ”(写真右)を見比べてみると、エキゾーストパイプの曲がり具合などに大きな違いが出ている。やはり“機械曲げは無機的で、『手曲げ』の方には人の手による味わいというかなんというか、流麗な曲線美が与えられている。ちなみにその価格差は、材質が同じチタンであるにも関わらず20万9000円もある。
このため見た目がモノを言うカスタムパーツとしては、『手曲げ』であることの美しさはもちろん、さりげなく(?)高価なことがアピールできるとあって人気なのだ。ちなみに性能に関しては、“機械曲げ”も『手曲げ』も走行における違いはほぼないそうである。
なので友人のバイクに明らかに純正とは違うエキパイが付いていて、しかも何だか有機的なRを描いていたら、「おっ、○○のフルエキじゃん!? しかもコレ、もしかして『手曲げ』?」なんて水を向けてあげるととっても喜ぶぞ!!
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