バイクのインプレッション記事やバイク乗り同士の会話で出てくるバイク専門用語。よく使われる言葉だけど、イマイチよくわからないんだよね…。「そもそもそれって何がどう凄いの? なんでいいの?」…なんてことは今更聞けないし。そんなバイク関連のキーワードをわかりやすく解説していくこのコーナー。今回は駆動系の『ベルトドライブ』をピックアップ!

そもそも『ベルトドライブ』とは?

『ベルトドライブ』はアメリカのバイクメーカーであるハーレーダビッドソンが好んで使う駆動方式。

『ベルトドライブ』はエンジンの動力を後輪に伝える駆動伝達の方式で、アメリカのバイクメーカーであるハーレーダビッドソンが好んで使う。

 

読んで字のごとく『ベルトドライブ』とは、一般的なチェーンドライブや縦置きクランクシャフトに有利なシャフトドライブではなく、“歯付きのベルト”を使って、エンジンの動力を後輪へと伝える駆動方式のことだ。

“『ベルトドライブ』のバイクは?”と聞かれてまず思い浮かぶのはハーレーダビッドソンである。1980年から長年『ベルトドライブ』を採用してきた経緯があり、現行モデルもアドベンチャーバイクパンアメリカ1250とX500/X350の中小排気量モデル以外は全て『ベルトドライブ』という徹底ぶり。

2006年に登場したBMW F800S/STの『ベルトドライブ』。細かな“歯”付きのドライブベルトでエンジンの駆動を後輪に伝えているのがわかる。

2006年に登場したBMW F800S/STの『ベルトドライブ』。細かな“歯”付きのドライブベルトでエンジンの駆動を後輪に伝えているのがよくわかる。

 

逆にハーレーダビッドソン以外の『ベルトドライブ』というと、同じくクルーザー系のモデルを得意とするアメリカのインディアンモーターサイクル。その他のメーカーというと、ヤマハであればTマックスシリーズにクルーザーのSTARシリーズ。BMWならF800シリーズ(現行のF900シリーズはチェーンドライブ)などで『ベルトドライブ』が採用されている。

チェーンドライブは数珠繋ぎになった金属が歯車(スプロケット)に噛み合うことで後輪に駆動力を伝えている。

一般的なチェーンドライブは数珠繋ぎになった金属の隙間に歯車(スプロケット)に噛み合うことで後輪に駆動力を伝えている。チェーンは金属なので当然『ベルトドライブ』より重い。

 

『ベルトドライブ』のベルトは、バイクのエンジンから伝わる強力な駆動力をしっかりリヤタイヤに伝えるため、高い強度が求められる。このためドライブベルトは、ひっぱり強度に優れるカーボンファイバーやアラミド繊維、ケブラー繊維といったワイヤー状の芯材を帯状に並べ、柔軟性に優れるゴム材でサンドイッチ。歯布と呼ばれる高強度ナイロンの布で表も裏も補強することで耐久性アップさせ、同時に駆動力の伝達ロスを減らしている。

ドライブベルトの内側は、かまぼこのような“歯(凹凸)”が並んでおり、これが歯車に噛み合って動力を伝達している。

チェーンに比べるといかにも軽そうなドライブベルト。内側には、かまぼこのような“歯(凹凸)”が並んでおり、これが歯車(スプロケット)と噛み合うことで動力を伝達している。

『ベルトドライブ』のここがスゴイ!

とにかく静かで駆動のショックも少ない!

『ベルトドライブ』が、シールチェーン、ノンシールチェーンに関わらず一般的なチェーンドライブに対して優れている点はここにある。一般的なチェーンドライブでは、金属のスプロケットに金属のチェーンがものすごい力で噛み合うことになるためどうしても音が出る。

一方の『ベルトドライブ』は、歯車側こそ金属素材であるものの『ベルトドライブ』は、ベルト本体にゴム材を使用することで衝撃吸収性や柔軟性が高く、とても静か。チェーンドライブ特有のジャラジャラ音がしないのだ。

チェーンドライブに比べると歯が低い分、ドライブベルトの幅は広め。

チェーンドライブに比べると歯の高さが低い分、『ベルトドライブ』はドライブベルト&スプロケットの幅は広めだ。

 

またチェーンドライブよりも衝撃吸収性が高いことで、発進やスロットル急開など唐突なエンジントルクがかかった際にも駆動がソフトに伝わり、チェーンドライブのような大きなショックが生まれにくいのも『ベルトドライブ』の特徴だ。もちろん駆動によるショックが少なくなればエンジン側のトランスミッションにかかる負担も少ない。

実際『ベルトドライブ』のモデルに乗ると、ビッグトルクで鼓動感が強烈なエンジンであってもタイヤに伝わる駆動に唐突さがなくなっているのを実感できる。チェーンドライブ特有の“ビンッ!”とチェーンの“遊び”が伸び切る衝撃が『ベルトドライブ』は少なく、タイヤへの駆動力の伝わり方も穏やかなのだ。

駆動伝達時のショックを和らげるハブダンパーと同じような効果が『ベルトドライブ』にはあるというわけ。言葉を裏返せば“ダイレクト感に欠ける”ということにはなってしまい、スポーツバイクの多くが未だにチェーンドライブを採用し、『ベルトドライブ』のモデルがクルーザー系のモデルに多いというのはあたりに理由がある。

『ベルトドライブ』はメンテナンスフリー!

チェーンローラーとスプロケットの歯で金属同士が激しくぶつかり、擦れ合うチェーンドライブとは違い、ゴム材が衝撃吸収する『ベルトドライブ』は極端に摩耗が少ない。決して摩耗や劣化をしないわけではないし、いずれは交換も必要にはなるが、少なくともチェーンドライブのような注油作業は必要ない。

またゴム材による衝撃吸収性が高い『ベルトドライブ』は、チェーンドライブのような極端な伸びも起きないのでアクスルシャフトをずらしてベルトの“遊び”を調整するといった作業の頻度も少ない。

定期的な交換は必要ではあるが、『ベルトドライブ』はチェーンドライブに比べて“ほぼメンテナンスフリー”と言えるくらい維持がラク!

定期的な交換は必要ではあるが、『ベルトドライブ』はチェーンドライブに比べて“ほぼメンテナンスフリー”と言えるくらい維持がラク!

 

ただ、静かで耐久性が高くて基本的にメンテナンスフリーというとても便利な駆動方式『ベルトドライブ』だが、チェーンドライブに対する欠点としては二次減速比の変更が気軽にできないことにある。

チェーンドライブの場合、チェーンはもとよりスプロケットも消耗品であり交換前提で作られている。このため歯数の違うスプロケットに交換するだけで、最高速の伸びを重視する設定(ロング化)にしたり、逆に最高速は落ちるが加速時のパワー重視(ショート化)にしたりすることが可能。加えてスプロケット交換時に起こるチェーン長の変化もチェーンのコマ数調整することで簡単に対応可能だ。

一方、『ベルトドライブ』は、そもそもとしてベルトの長さを調整できないため二次減速比を変更することがユーザーレベルでは難しい。ハーレーダビッドソンには、チェーンドライブ化による二次減速比変更のカスタムがあるくらいだ。

『ベルトドライブ』の車両は、チェーンドライブの車両ほど気軽にスプロケット交換による二次減速比の変更ができない。

『ベルトドライブ』の車両は、チェーンドライブの車両ほど気軽にスプロケット交換による二次減速比の変更ができない。

 

というわけで『ベルトドライブ』は、静かでソフトな駆動力伝達と、維持に手間がかからないメンテナンス頻度の少なさがポイント。“チェーン注油に清掃、調整がとにかく面倒で……”という方は『ベルトドライブ』のモデルに乗り換えるとそんなメンテナンスの煩わしさから解放されるぞ!

 

 

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